はじめに:下水道がない場所で、使った水はどこへ行く?
私たちが毎日、キッチンやお風呂、トイレで使った水。都市部では、そのほとんどが地下に張り巡らされた「下水道」を通って、大規模な処理場できれいにされています。では、下水道が整備されていない地域では、その汚れた水はどこへ行くのでしょうか?
その答えが、多くの家庭や施設を支えている「浄化槽」です。これは、いわば建物ごとに設置されたミニ水処理場。この浄化槽を適切に設置し、地域の水環境を守るのが「浄化槽工事」のプロフェッショナルです。今回は、その重要な仕事内容と魅力について、分かりやすく解説します。
なぜ「浄化槽」は必要?その仕組みと環境を守る大切な役割
浄化槽は、単に汚水を溜めておくタンクではありません。自然環境を守るための、驚くべき仕組みと重要な役割を持っています。
下水道が整備されていない地域を支える、暮らしのインフラ
日本の下水道普及率は100%ではありません。山間部や郊外など、地形的・経済的な理由で下水道の整備が難しい地域は今も多く存在します。そうした場所で、私たちが都市部と変わらず快適で衛生的な生活を送るために、浄化槽はなくてはならない生活インフラなのです。
微生物の力で汚水をきれいにする「浄化槽」のすごい仕組み
浄化槽の中では、酸素を好む「好気性微生物」や、酸素を嫌う「嫌気性微生物」といった、たくさんの小さな生き物たちが活躍しています。これらの微生物が、汚水に含まれる有機物を分解し、きれいな水へと処理してくれます。自然の力を借りた、非常に優れた水処理システムと言えるでしょう。
川や海の環境を守る!法律で定められた設置義務と、その社会的意義
もし、家庭や施設からの汚水がそのまま川や海に流れ出てしまったら、水質汚染を引き起こし、生態系に大きなダメージを与えてしまいます。それを防ぐため、下水道が未整備の地域で建物を建てる際には、法律によって浄化槽の設置が義務付けられています。浄化槽工事は、地域の美しい自然と水環境を守るという、非常に大きな社会的意義を持つ仕事なのです。
【プロの仕事拝見】浄化槽工事の基本的な流れ
では、浄化槽工事は実際どのように進められるのでしょうか。その基本的な流れをご紹介します。
STEP1:現地の調査と、最適な浄化槽の選定
まずは、建物の用途(住宅、店舗など)や規模、住んでいる人の数などから、どのくらいの汚水を処理する必要があるかを計算します。その上で、現地の地盤やスペースに合わせて、最も適した大きさ・種類の浄化槽を選定します。この最初の計画が非常に重要です。
STEP2:重機を使った正確な掘削と、頑丈な基礎づくり
設置場所が決まったら、バックホウなどの重機を使って、浄化槽を埋めるための穴を掘ります(掘削)。図面通り正確な深さと大きさに掘り進め、底にコンクリートを流し込んで、重い浄化槽をしっかりと支えるための頑丈な基礎を作ります。
STEP3:浄化槽本体の設置(据付)と、給排水管との確実な接続
基礎が固まったら、クレーンなどを使って浄化槽本体を慎重に穴の中へ設置します。そして、建物から汚水を流し込む「流入管」と、処理後の水を排出する「放流管」を、浄化槽の所定の位置に角度や高さを正確に合わせて、確実に接続します。ここでの接続作業は、まさに配管工の腕の見せ所です。
STEP4:丁寧な埋め戻しと、正常な動作を確認する最終チェック
配管の接続が終わったら、浄化槽の周りに隙間ができないよう、丁寧に土を埋め戻していきます。最後に、水を流してみて、浄化槽が正常に機能するか、配管の接続部から水漏れがないかなどを入念にチェックし、全ての作業が完了となります。
浄化槽工事のプロになる!求められるスキルと、仕事のやりがい
浄化槽工事の専門家として働くことには、どのようなスキルが求められ、どんなやりがいがあるのでしょうか。
土木と配管、両方の知識が活きる複合的な技術職の面白さ
浄化槽工事は、重機を使って地面を掘る「土木」の知識と、管を正確に繋ぐ「配管」の知識、その両方が求められる複合的な仕事です。幅広い技術や知識を身につけることができ、現場全体を総合的に見て、自分の判断で仕事を進めていく面白さがあります。
地域の水環境保全に直接貢献できる、社会的な意義と誇り
自分たちが設置した浄化槽が、その地域の川や海の水をきれいに保ち、未来の環境を守ることに直接繋がっている。これは、非常に大きなやりがいと社会的な意義を感じられるポイントです。「環境を守る仕事がしたい」と考える方にとって、これほど手応えのある仕事は少ないかもしれません。
専門家としての証!国家資格「浄化槽設備士」へのキャリアパス
浄化槽工事を適正に行うためには、専門的な知識と技能が不可欠です。そのため、「浄化槽設備士」という国家資格が存在します。実務経験を積みながらこの資格を取得することで、専門家としての信頼性が高まり、キャリアアップにも繋がります。明確な目標を持って成長していける道筋があります。
まとめ:見えない場所で、地域の「水環境」を支える専門家になろう
浄化槽工事は、下水道が未整備の地域において、人々の衛生的で快適な暮らしと、未来の自然環境を守るために、なくてはならない仕事です。土木と配管の両方のスキルが求められる奥深さと、環境保全に直接貢献できる大きな誇りを得ることができます。
有限会社進光では、このような社会的に意義のある仕事に、未経験からでも挑戦できる環境を整えています。専門的な知識や技術は、入社後に経験豊富な先輩が基礎から丁寧に指導しますし、資格取得のサポートも万全です。地域の「水環境」を支えるプロフェッショナルに、あなたもなってみませんか?
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